【イベントレポ】SJP未来塾特別版「モヤモヤ雑談会」第2回 土門蘭さん×吉本ユータヌキさん

モヤモヤ雑談会案内

イベントレポート担当ライターの近野です。

SJP未来塾の特別版として、働きたくないと思っている方のトークラジオ「モヤモヤ雑談会」をオンラインで配信しました。

今回は、2025年1月21日(火)に開催された第2回、テーマ「不安と向き合う」のラジオの内容をレポートします。事前予約の段階で500名以上の参加申し込み、約100件の事前質問があった、大注目の会でした!

本イベントを運営している「しがジョブパーク」では、就職活動の中で一歩踏み出したい人を後押しするセミナー「SJP未来塾」を数多く準備しています。

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第2回「不安と向き合う」のゲスト講師は、文筆家の土門蘭さんと滋賀県在住の漫画家・イラストレーターの吉本ユータヌキさんです。

おふたりは本イベントが初対面だったそうですが、似た経験をしてきたからか、冒頭から話が途切れることはありませんでした。

ラジオはおふたりの軽快なかけ合いで、進行していきます。

おふたりの詳しいプロフィールは「まとめの下段」を確認してみてください。

大人になっても不安と付き合いながら生きている

吉本ユータヌキさんと土門蘭さんのラジオ風景
左が吉本ユータヌキさん、右が土門蘭さん

ー不安と向き合い始めたきっかけ、その理由を教えてください。

10歳の頃から不安が常にあって、どうにかしたいと考えていました。友人に話すと「気にしすぎじゃない?」と言われ「私が考えすぎだからダメなのかも」と思ってしまって。心配かけたくなくて、誰にも言わなくなりました。
コロナ禍をきっかけに、人に話そうと思ってカウンセリングを受けるようになりました。

僕もコーチングを受けたタイミングは、コロナ禍でしたね。独立して1年後で、ちょうど家を買ったり、3人目の子どもが生まれたり。仕事がすべてなくなり、怖くなって漫画が描けなくなりました。

私の場合は子どもの頃から「死にたい」という気持ちがあったので、なぜなのか理由を知りたかったんです。心当たりをひとつずつ潰していっても不安が絶えなかったから、カウンセリングというアプローチで探っていきました。
今でも不安になる度に、カウンセリングで話してみたり、本を読んだりして、自分との関係性を見つめ直しています。このカウンセリングの記録をつづったのが『死ぬまで生きる日記』です。

僕もメンタルが落ちてしまう理由を知りたくて、いろいろ試してみました。気圧の変化にも敏感だったので、漢方を試すために病院へ行ったんです。そこで血圧を測ってもらったら、実は低血圧だと分かって。「不安やモヤモヤは身体的な理由だったんだ」と気づき、ひとつ対処法が見つかっただけで気分が軽くなりました。

モヤモヤしやすい性格は「敏感肌」のようなもの

トーク中の吉本ユータヌキさんと土門蘭さん
左が吉本ユータヌキさん、右が土門蘭さん

そうそう、良い意味で諦めるって大切ですよね。

カウンセリング中に「解決しようとするから問題なのであって、解決しようとしなければただの現象になる」と言われたのが印象に残っています。「不安になるのは変だから治さないと」と問題視していましたが「これって体質なんだな」と思って、受け入れるようにしました。
自分の心がかぶれやすいのはどうしようもないから、自分なりに軟膏を塗ってあげたり、保湿してあげたり。自分でケアするしかないと気づいてから、しんどさは半分くらいになりました。

モヤモヤしている時は、敏感肌の自分をますます嫌になってしまうんですよね。

そうなんです。
でも、言い方を変えれば「繊細な肌」ということ。思慮深い、感受性が強い、など良い意味でも捉えられます。肌質を変えられないのなら、自分の捉え方を変えるしかないと思いました。

ーモヤモヤしてしまう自分を受け入れることが大切なのですね。

僕がモヤモヤを言語や漫画にしたことで「救われました」「ありがとう」と言ってくださる方が多くいらっしゃって。「こんな自分で良かったんだな」と自分を肯定することができました。

経験しているからこそ、自分に似た人のことが想像できるのは、財産だなと思います。不安やモヤモヤを打ち消そうとするんじゃなくて、受け入れて共存していくのが大事なんだなと。

本当にそうですよね。僕も10代の頃からずっと不安になりやすいんですけど、大人になったら変わるだろう、いつか治るだろうと思っていました。

ずっとこうなんですよね。多分これからも。

「選手と鬼コーチ」から「アイドルとマネージャー」の関係へ

土門蘭さんの不安への対処法のフローチャート
土門さんのお話より独自に作成

土門さんは、原因の分からない不安に対して、どう対応されていますか?

まずは、原因のある不安か原因のない不安か。自分にインタビューしてみるんです。原因のある不安なら、解決策を見つけられないか考えて行動します。
一方で原因のない不安だと分かったら、まず自分に対して「不安になっても良いよ」と言い聞かせ、不安を受け入れることから始めます。「早くこの不安を消さないと」と思うとますます不安になってしまうので。空に向かって「雨よ、止め」と叫んでも止まないのと同じですよね。

自分なりの向き合い方をフローチャートにして体系立てているんですね。

はい、今の自分にはどれが1番しっくり来るかな?で進め方を選んでいます。

フィジカルの面で言うと、寒かったり眠かったりお腹が空いていないか確認して、それを満たしてあげます。赤ちゃんをあやすように自分をあやすんです。
あと、エネルギー量もチェックします。エネルギーが少ない時もですが、実はエネルギーが余っている時も不安がもぞもぞし始めるので、そういう時はとにかく身体を動かしてエネルギーを発散させます。

フィジカルの面だと、僕も特に寒い時期は不安になりやすいので、予防的に身体を温めるようにしています。ネックウォーマーをつけておく、温かいお茶を横に置いておく、とか。

分かります!寒いと生物として何か危機を感じるのかもしれませんね(笑)。

メンタルの面では、原因のある不安は自分の外側との関係性によるものである一方、原因のない不安は自分の中に問題があると考えています。つまり、自分と自分の関係がうまくいっていない時ですね。
そんな時、私がよくやるのは、自分と手をつなぐイメージを持つことです。手をつなぐイメージをしながら仕事をしたり、街を歩いたり、人に会ったりする。「私には私という味方がいる」と思うと、少し不安や孤独感が和らぐんです。

また、自分を責めすぎてしまう時もありますよね。自分の中に鬼コーチがいて、自分のことを監視している状態なので、しんどくなってしまう。
私は最近、この「選手と鬼コーチ」の関係を「アイドルとやさしいマネージャー」に変えるよう、イメトレしています。「アイドルと鬼コーチ」の組み合わせだと、アイドルがメンタルをやられちゃうので、まず鬼コーチを解雇する(笑)。代わりにどんな人が傍にいてくれたら良いかな?と想像します。例えば「少し働きすぎですよ」「コーヒーでも飲みますか」と声をかけてくれるマネージャーが良いなと思ったら、自分がそのマネージャーになるんです。

なるほど!鬼コーチが自分の中にいるのは、そういう人との関係があったからではないかな?と思いました。

僕は親に時間を守るように言われて育ったからか、時間に厳しい一面があります。けれど、沖縄の友達から「待ち合わせの時間に家を出るよ」と聞かされて「なんだ、これでも生きていけるのか」と気持ちが緩みました。

そうそう!分かる気がします。
「心にギャルを飼う」という表現をSNSで見たことがありますが、さまざまな価値観を自分にインストールすることが大切ですね。

自分の中にやさしい人がいて欲しいなら、やさしい人に声をかけてもらった経験などを思い出せると良いですよね!頭の中に住んでくれる人の選択肢を増やせると、気持ちが楽になるかなと思います。

ー最後に一言、お願いします。

こうして自分なりの不安との向き合い方をみなさんに伝えられたのも、不安と生きてきた自分がいたからです。これまで悩んできた自分が報われた気がします。
今日の話がみなさんのお役に立てていたら、うれしいです。ありがとうございました。

僕たちも、昔より不安との付き合い方がうまくなっただけで、今も不安はあります。みなさんも今日をきっかけにしていただいても良いですし、誰かに話してみたり、コーチングを受けてみたり。今よりも自分との付き合い方がうまくなってもらえたらと思います。
本日はありがとうございました!

参加者の感想・気づき

不安に対してずっと向き合い続けているおふたりがとても素敵です。言葉を選びながら話されていて、うんうんと頷きながら聴くことができました。(YouTubeチャットより)

自分の不安ってまだまだ漠然としているんだなぁと気づきました。もっと紐解いて、何がつらいのか、自分のことを知ろうと思います!(YouTubeチャットより)

「問題を解決しようと思うから問題になる」という言葉にハッとさせられました。知らぬ間に自分自身に負荷をかけたり「良い人でいないと」と思ったりしているので、自分を客観視していきたいです。(YouTubeチャットより)

まとめ|自分の不安と向き合い、共存していこう

モヤモヤ雑談会」第2回では「不安と向き合う」をテーマにゲスト講師のおふたりのトークを聞きました。

漠然とした不安を抱えてしまう自分を「敏感肌」だと捉え、自分なりにケアしていく。そんな例えが腑に落ち、気持ちが楽になった参加者も多かったのではないでしょうか。

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演者の紹介
土門蘭さんのアイコン

文筆家。1985年広島生まれ、京都在住。小説・短歌などの文芸作品や、インタビュー記事の執筆を行う。著書に『100年後あなたもわたしもいない日に』(寺田マユミ氏との共著)、『経営者の孤独。』、『戦争と五人の女』、『そもそも交換日記』(桜林直子氏との共著)がある。2023年4月には、自身のカウンセリングの記録を綴ったエッセイ『死ぬまで生きる日記』を上梓。同作品で第一回「生きる本大賞」受賞。

吉本ユータヌキさんのアイコン

滋賀県在住の漫画家、イラストレーター。1986 年大阪生まれ。2020 年に「漫画家やめたい」と落ち込んでいたタイミングでコーチングと出会い、雑談を繰り返すうちに「他人の期待に応えるために漫画を描くことに苦しみを感じていた」と気づく。1年かけて「自分の描きたいことを描く」へと少しずつ変化し、それ以降「気にしすぎ」な人が少しでも気楽に生きられるヒントになる作品をつくりたいと思っている。著書に『あした死のうと思ってたのに』(扶桑社)、『「気にしすぎな人クラブ」へようこそ』(SDP)がある。

(記事執筆:近野)

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